殺人者たちの王国がある。領土を持たない王国がある。殺人者たちは役人面や労働者風の出立ちに隠れて歩き、夜の街の深い影に溶けて生きる。あるいは、死ぬ。ここでは死ぬ者も生き残る者も皆殺人者だ。
王国は顔を持たない王が統べる。王は王の言葉をもって王国を築いたのだ。殺人者たちは王の言葉に誓いを立てた。我が生は王の下にあり、我が死は王の下にあり、と。
世界中の権力者たちは自らの死を恐れ、ある国は王国を攻め落とそうと軍を用いた。しかし領土なき王国に攻め入る場所を示せないまま軍人たちは地図を前に右往左往するだけだった。またある国の首領は殺人者の王国に利を見出し、敵対する国の要人が殺されるのを期待して静観した。
しかし、王の言葉は恐怖を裏切る。あらゆる者の恐れと期待を裏切る。
王は最後に言った。
まだ気づかないか。
我らの王国がどれほど巨大になったかを。
あなたがたはすでに我ら王国の一員ではないか。
殺されて死んだ者を思い出せ。
彼らのうちでさえ、いったい誰が我ら王国に属さぬ者だったか。
我ら王国はすでに地上を覆い尽くした。
王はいらぬ。
王の言葉などもういらないのだ。
我らは己のうちにそれを抱いて生きているではないか。
そうして殺人者となったのではなかったか。
私は消える。
私は地上を去る。
親愛なる王国の民よ。
私の最後の言葉を聞け。
私のあとに続け。
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